私学教育
私立進学校の現状について
教育理念・教育方針の不備とコンセプト・展望の欠如
学校案内やホームーページに掲載されている教育理念や教育方針は単なるスローガンとなり具体策が明示されていない場合が多い。
・学校の教育理念・教育方針とその実態について:
教育理念自体が合格実績中心主義となってしまい、生徒の人格形成・人材育成についての具体策が欠如していると考えられる。
受験指導だけしても、人格形成や人材育成をしたことにはならない。国際競争力と遵法精神を持った人材を育成するための対応策が内外から望まれている。
合格実績中心主義の私立進学校の現状についての考察
私立中学高校の多くが合格実績中心主義の進学校になっている。では合格実績中心主義の問題点とは何か。
・習熟度別授業、補習・講習、模試、非受験教科軽視などによる弊害について:
生徒は受験科目以外に注目しなくなるために、視野が狭くなる。また、実社会についての知識が不足しているため、実社会への対応力が著しく欠如してしまう。
また習熟度別授業や補習・講習・定期考査・小テスト・模試に追い立てられるために時間的な余裕がなく、読書や他者との対話をすることができずに毎日を送っている。
さらに私立であるため地元意識が低く地元の友だちと触れあう時間も少なくなる傾向がある。従って、生徒の人格形成をする場が極めて少なくなっていると考えられる。
・通塾・宿題・定期考査・小テストなどによる弊害について:
成績低位層の生徒は塾と学校の両方で自分は勉強ができないということを擦り込まれることになる。そのために、著しくやる気が喪失されてしまうと考えられる。
・生徒のモチベーションマネージメントについて
学校は成績低位層の生徒に対して個別に対応することができないため、その生徒は実質的に切り捨てらることになる。
そのため、その生徒は学校では助けてもらえないと感じてしまい、やる気を著しく喪失してしまうと考えられる。
さらに、家庭でも両親から成績の良くないことを責められてしまうこともあるため、ますますやる気を著しく喪失してしまうと考えられる。
・教員のモチベーションマネージメントについて:
学校は常勤講師を多く採用している。常勤講師採用の目的は学校が教員を使い捨てできることにある。常勤講師になると契約は毎年更新となり退職金の年数に加算されない。
給与と賞与は専任の7割程度に抑えらる。勤務時間は専任と同様である。また常勤講師の期限は最大3年間であり4年目は契約満了を理由とする解雇となる。
つまり3年間の雇い止めである。常勤講師には専任教員への道が閉ざされている場合が多い。
そのため教員の定着率が著しく低下してしまう。従って教員のやる気も低下すると考えられる。
生徒指導・生活指導・進路指導・保護者指導の欠如
合格実績中心主義の進学校では生徒指導、生活指導、進路指導、保護者指導が不足しがちなため様々な弊害が出ている。
・生徒指導体制の不備によるモラル欠如の実態について:
生徒による器物破損・暴力行為・盗難・恐喝・いじめ・言葉の暴力・教員への反抗的な態度などが校内で頻発することがある。
このような行為が発覚した場合、その場だけの場当たり的な指導や処罰だけしても根本的な解決にはならない。
日常的に生徒指導を実施すべきなのは言う間でもないが、教員が生徒指導の技術を身につけることがその前に必要だと考えている。
・生活指導の不足による弊害について:
生徒によってはその生活状態が乱れてしまい、修正できない状態である場合がある。インターネット・ゲーム・深夜の携帯電話利用などにより昼夜が逆転してしまうこがある。
そうなると、朝起きられなくなったり、起きらたとしても、授業中に居眠りをしてしまうことになる。
このような状態が継続すると、通学が不可能になったり成績が著しく低下したりする。最悪では、転学や退学へ追い込まれてしまうこともある。
生徒の生活指導は保護者と密接に連携・協力しながら、日常的に実施すべきで<あると考えられる。
・進路指導体制の欠如による弊害について:
進路指導とは進学指導だけでなく将来の職業設計と人生設計までを含めた相談に対応し指導することである。
現状ではこのような進路指導をしている私立進学校はすくないのではないだろうか。
業者による模試の成績結果を基にしてどこの高校または大学に合格可能性が何パーセントあるかを説明するだけというような進学指導をしている学校が多数あるのではないだろうか。
このような進学指導を受けている生徒は、自分の人生設計や将来設計を十分に検討し検証することもできずにただ進学さえできれば良いと思ってしまうだろうし、
その生徒は目的意識が脆弱となり、目標に向かって全力を尽くそうという意欲もあまり出てこなくなるのは当然とも言えるだろう。
・保護者指導の欠如による弊害について:
三者面談や保護者会、進学説明会などに参加して説明される内容は上記の進学指導が中心であり、塾が塾生の保護者に説明する内容とそれほど変わらないものであろう。
保護者は自分の子供が将来何になろうとしているか、また、その実現可能性について知りたいと考えているはずである。
しかし、職業設計や人生設計について相談に乗ってくれる教員は少ないだろう。さらに、このような相談に対応するためには、かなり高度な技術が必要となるばかりでなく
相当な時間がかかる。担任がクラス全員の生徒と保護者に対して職業設計や人生設計についての相談に対応するためには、1年間では済まないだろう。
しかし、保護者にこのようなニーズがあれば、学校として全力で対応しなければならないであろう。なぜなら、生徒の将来設計は保護者にとっての最大関心事のひとつであることは
間違いないからである。
小論文指導・実用英語指導・情報技術指導の欠如
・小論文指導の不足について:
指定校やAO入試には小論文が必須である。また、願書と一緒に志望理由書を添付することも少なくない。志望理由書には、自分の職業設計について記載して、
そのために必要な学科へ入学したい旨を伝えるのが定石であろう。自分の職業設計と人生設計について、検討・検証しておくことが大変重要なのである。
現在、小論文指導を独自で実施している私立進学校は少ないだろう。なぜなら、小論文指導できる教員が少ないからである。
また、小論文指導にはやはり高度な技術が必要である。国語の教員に任せておけば良いというわけにはいかない。
小論文は入試に必要なだけではない。大学に入学すれば、前期試験で論述問題が相当出てくる。ゼミナールに入ればゼミ論が必要であり、卒業には卒論が必要である。大学院に入学すれば修士論文が必要である。また、就職試験でも
小論文を課す場合が少なくない。就職すれば報告書や様々な文書を書く必要に迫られる。管理職になれば企画書なども書かなければならないだろう。
小論文の基礎は中・高で付けておく必要があるのである。書くためには多く読まなければならないのは言うまでもない。
読書が非常に重要である。モチベーションの低い生徒が読書をするだろうか。
生徒のモチベーションを上げるために教員は努力する必要があるのである。モチベーションを高く保ちつつ継続的に読書していかなければ、小論文は書けないだろう。
現在、小論文添削指導をしている業者が数社ある。学年別に一斉に実施する形式である。業者は郵送された原稿をアルバイトの添削員などにマニュアルに従って添削させるのである。
その結果が1ヶ月から2ヶ月後に郵送されてくる。業者によって実施方法は様々である。小論文添削指導は最低でもテーマひとつについて10回程度必要であるというのが、
暗黙の了解であろう。より高度なテーマについての添削は20回程度必要となる場合もある。いずれにしても個別に指導していかなければならない。
・実用英語指導の不足について:
受験英語(問題解答形式)ができても実用英語ができるとは言えない。英語の4技能聞く・読む・書く・話すことができて初めて英語が使えると言えるのである。
進学校の生徒は受験英語だけで精一杯で、実用英語までできないと悲鳴をあげている状態である。
かろうじて英検だけは受験するが、なかなか2級が合格できないのが現状だろう。有名進学校でも2級合格者はそれ程多くはない。
英検は話す・書く技術をあまり検査できない。従って、準1級を合格しても話せない人は多い。英語は使える必要がある。今後、実用英語の必要性は増すばかりである。
進学校で実用英語に時間をかけられないのは、受験英語中心に授業・補習・講習を実施しているからである。現在、大学では、TOEICを学生に課すところが増加している。
英検2級と準1級の間のレベルを測る手段が少ないので重宝することもあるのであろう。しかし、TOEICでもやはり聞く読む技術が中心である。書く・話す技術はあまり検査できない。
話さなければ相手に何も伝わらない。何をいつ、どのように話すかが問題であり、話す技術を最大重視した授業が必要であろう。
・情報技術指導の不足について:
教養教育・芸術教育・社会教育・職業教育・道徳教育の欠如
リスクマネージメントの欠如
私立進学校の展望:
合格実績中心主義の進学校から脱却し人格形成中心主義の教育内容を確立し、国際競争力のある人材を育成できる教育内容を実施することが望まれている。
主な項目は以下のとおりである。
・人格形成中心主義の教育理念とその実施について
・教養教育・芸術教育・社会教育・職業教育・道徳教育の実施について
・生徒指導・生活指導・進路指導・保護者指導の実施について
・小論文指導・実用英語指導・情報技術指導の実施について
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